2013-01-01から1年間の記事一覧

特別じゃない折原臨也の存在疑惑

臨也さんはまるで何も知らない子供の様にまた一人、人間の感情の底床をぶち抜いて微笑んでいる。凶悪でもなく、優越でもなく、クラスメイトの結婚式でも眺めているような目だ。底を抜かれた当人は、指一つ動かせない茫然自失の状態であり、今から暫くの間は…

デッサン再び

前回の美術で昏倒してから一週間。いま再び始まるデッサンの授業を考慮して昼飯は食べていない。吐いている余裕はないのだ。坊主憎けりゃ袈裟まで憎い。さっさと描いて終わらせなければ、長田さんを恨み始めてしまいかねない。悪いのは長田さんじゃないこと…

デッサン初回

昔からそういうモノはよく見るもんで、慣れてない訳ではないのだが、慣れることと平気だということはイコールではないのだ。小学三年のある日、担任の吉澤先生の背中に赤い服をびしょ濡れにした女性が負ぶさっているのを見た時は、1秒かからず気絶したものだ…

はるさんとはるさんの彼のはなし

世界は何であるか。その答えを出せなかった世の哲学者達に彼のソクラテスは言った。私達は“わからない”ということが“わかっている”、と。そして続ける。人間は賢いと。 それを国中の民に説いて回り続けたソクラテスはAC.399年、死刑となる。 たった今の講義…

大人になる

音も立てずに目の前から世界が消えた。黒塗りの視界に怯みながら耳をそば立てる。階段の下から母親が叫んでいる。洋介ぇ無事ぃ?と間延びした大声だ。 「大丈夫だよー」 「停電かしらぁ」 「隣も消えてるから多分地区停電だと思うよー」 困ったわぁと遠ざか…

リベラバビロン

切り立つ繁華街 低俗な美徳 簡素な未来像に原子力マーク 「病気だ、狂気だ」騒ぎ立てる雑踏 不都合纏め洗いざらい麻酔 権力者貪る 根刮ぎ奪ってく 街娼に名誉に硬貨に喰らい 毎夜毎夜 首くくり 落下 目もくれず利己 自尊自尊 群衆は耽美ジャンキー幻想に 心…

潜水艦トロイメライ

深度、段違いに潜りきった地図にない底に コーデュロイの海月、無色透明の寄生虫 気体バルーン纏った潜水艦、進め サーチライト照らせ照らせ 岩窟の深奥層 昼も夜も鉄の中の闇夜 パイプ管の振動 唯一の手記だけを頼りに沈もう 使い古された合図なんて必要な…

欲望は。

僕の欲望は、ごはんをもう一杯食べたいと思うこと。カロリーの取り過ぎだと分かっていても、夜遅くだと知っていても、白くてもちもちの米を、もう少し食べたいと思うこと。 眠り続けたいと思うことも僕の欲望。目覚ましのアラームを止めた時の選択で、1コマ…

映画

観たもの。 ・書道ガールズ ・るろうに剣心 ・探偵はBARにいる ・ツレがうつになりまして。 ・マルタのやさしい刺繍 ・鉄コン筋クリート ・グーグーだって猫である ・ジョゼと虎と魚たち ・メゾン・ド・ヒミコ ・西の魔女が死んだ ・誰もしらない ・かもめ食…